インサート成形に必要な基礎知識 ~機械・設備~

インサート成形の品質と生産性を左右する要素のひとつが、適切な機械・設備の使用です。インサート成形は、金属部品を樹脂で一体成形する際に、部品の精密な配置と強固な接合が求められます。そのため、専用仕様の射出成形機や自動供給装置、位置決め精度に優れた金型、温度管理・脱泡・取出しに至る周辺機器まで、様々な専用設備の活用が高精度な成形を可能にします。本記事では、インサート成形に欠かせない設備の種類とその役割をご紹介します。

インサート成形の機械・設備の種類とその役割

射出成形機(インサート成形対応仕様)

インサート成形に用いる射出成形機は、通常の成形機とは異なり、より高精度な制御性能が要求されます。その中でも、テーブル回転型や垂直型の射出成形機は、インサート部品を安定的に配置、固定をする機能を持ちます。垂直型では、重力方向に部品を設置できるため、ズレのリスクを軽減できます。

さらに、圧力・速度・時間を細かく制御できる機能を持つ射出成形機は、インサート部品のズレや樹脂との剥離を未然に防ぐことが可能となります。

インサート自動供給装置

インサート部品を人の手で配置する場合、作業スピードや精度には限界があり、タクトタイムの短縮と品質安定の両立が課題になっています。こうした課題を解決できるのが、画像処理カメラ付きのインサート自動供給装置です。自動供給装置は、位置ズレ検出や補正機能を備えており、正確かつ安定的にインサート部品を成形機へと供給できます。これにより、人手作業のばらつきを抑制し、生産効率の向上と不良品の低減が可能になります。

専用金型

インサート成形専用の金型は、インサート部品を正確に固定するための位置決めピンや、樹脂の流れを的確に誘導するランナー設計を備えており、高精度な成形を行うことができます。

また、脱型時にインサート部品が損傷しないよう、金型表面の処理やスムーズな開閉構造も設計段階から考慮されているため、製品の成形品質を安定させることができます。

周辺装置

インサート成形においては、射出成形機や金型だけでなく、それらを支える周辺装置も重要な役割を果たします。たとえば、金型温度を一定に保つ温調機は、樹脂の流動性と固化速度をコントロールし、寸法精度を向上させます。また、真空脱泡機は、樹脂内の気泡を取り除くことができ、成形品内部の欠陥を防ぐことができます。

さらに、ハンドロボットなどの自動取出し装置により、成形後の取り出し作業を自動化することで、タクトタイムの短縮と人為的ミスの低減が可能となります。このように、個別の装置だけでなく、それぞれの設備が連携して機能することで、インサート成形の全体工程が最適化され、安定生産に大きく貢献します。

当社のインサート成形事例をご紹介

自動車(EV)用コネクター

自動車用EVコネクター_インサート成形ラボ

こちらは自動車用コネクターの加工事例です。サイズは73×30.32×22.5mm、使用材料は真鍮とPPS樹脂となっております。本製品は高い気密性が求められるため、湿気や水分など外部からの影響を防ぐ目的でエアリーク検査を実施し、安全性の高い製品品質を確保しております。さらに、EV用途では高電圧・高電流を取り扱うことから、電気供給の信頼性を左右するピン位置の精度にも細心の注意を払い、寸法精度を確実に保証しています。

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自動車(EV・HEV)用モジュールケース

こちらの加工事例は、EV・HEV車両向けに使用されるモジュールケースで、サイズは158×94×23mmとなっております。使用材質は、めっき処理が施された銅に加え、PBT樹脂およびPPS樹脂を採用しています。製品の強度を確保するため、成形時の充填位置を工夫し、特に薄肉部である端子間にウェルドラインが発生しないように設計・製造を行っています。これにより、機械的信頼性の高い製品構造を実現しています。


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インサート成形のことならインサート成形ラボにお任せください

今回はインサート成形に必要な主な機械、設備の種類とその役割についてご紹介しました。製品の品質や生産性を高めるうえで専用機の使用は必要不可欠といえます。インサート成形ラボを運営する日輝製作所では、様々な設備を保有しており、自社内にて金型設計・製作~プレス・成形~組立・検査まで一貫して対応することができます。お困りの方はお気軽にご相談ください。

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