インサート成形と二色成形の違い
製造業の現場では、多様化する製品の需要に応じて、さまざまな成形技術が活用されています。その中でもインサート成形と二色成形は、それぞれ異なる特性を持ち、多岐にわたる製品に利用されています。
本コラムでは、それぞれの技術の概要と特徴、さらに両者の違いについて詳しく解説いたします。
インサート成形とは
インサート成形とは、金属や樹脂などの部品を事前に金型内にセットし、その上から樹脂を射出成形する技術です。この方法では、異なる素材を一体化した製品を効率的に製造することが可能です。
例えば、金属部品と樹脂部品を一体化することで、製品の耐久性が向上し、組み立て作業が不要になります。また、設計の自由度が高まり、複雑な形状やデザインを実現できる点も大きな特徴であり、自動車部品や家電製品、さらには医療機器など、さまざまな分野で活用されています。
二色成形とは
二色成形は、異なる2種類の樹脂を一つの製品に順次成形する技術です。この成形方法では、一つの金型内で2種類の素材を成形するため、色や素材の異なる部分を一体化することができ、これにより製品のデザイン性が向上し、機能性を高めることができます。
例えば、異なる色の組み合わせによる視覚的な魅力の向上や、硬い素材と柔らかい素材を組み合わせた製品の製造が可能なため、二色成形はスマートフォンのケースやリモコンのボタンなど、日用品や家電製品の部品に幅広く応用され、接着剤や組み立ての工程を省略できることにより効率的な製造が実現します。
(※インサート成形ラボでは、二色成形には対応していません。)
インサート成形のメリット
接着強度の向上
インサート成形では、金属素材をインサート部品として樹脂に埋め込むことで、製品全体の強度を向上させることができます。
樹脂がインサート部品を包み込む構造により、インサート部品の脱落、緩みが発生しにくくなり、外部からの衝撃や振動にも強くなるため、自動車部品や工業機械部品などの高負荷がかかる部品に適しています。
組立工程の簡略化
インサート成形時は、金属部品はネジなどを樹脂成型時に埋め込むことで、成形後に組み立てる必要がなくなり、本来必要な接着やねじ止めなどの工程が省略することができるため、組立てコストの削減とリードタイムの短縮に繋がります。
精度の向上
金型内でインサート部品が固定された状態で成形されるため、部品の位置ずれを防ぐことで高い寸法精度を実現します。
二色成形のメリット
高い製品品質
二色成形は成形機内で製品の製造が完了することができ、二種類の樹脂が一体化するため後工程である接着や組立てが必要ないことから品質のばらつきを抑えることができます。
製造工程の効率化
二色成形は他の射出成型に比べて組立て工数や部品の数が少ないため、加工時間とコストを削減することが可能です。
機能性の向上
二色成形時に異なる特性を持つ素材を一体化することで製品に特定の機能をつけることが可能です。
例えば、硬い樹脂と柔らかい樹脂を組み合わせることで滑り止め効果や衝撃吸収性に優れた製品を製作することができます。
インサート成形と二色成形の違い
インサート成形と二色成形の違いは、主に素材の組み合わせと製造工程にあります。インサート成形は主に金属と樹脂、または異なる性質を持つ樹脂同士を一体化させるのに対し、二色成形は異なる2種類の樹脂を用いることで色や機能の異なる部分を作り出します。
また、インサート成形では部品を金型内にセットする作業が必要となりますが、二色成形では成形品自体を金型内で回転または移動させて二次成形を行います。
これらの違いから、インサート成形は耐久性や機能性が重視される製品に適しており、二色成形はデザイン性や多機能性が求められる製品に最適な成形方法になります。
まとめ
本コラムでは、二色成形とインサート成形の違いについてご紹介しました。
インサート成形ラボでは、インサート成形から金型設計・製作、プレス加工まで幅広いサービスを提供しております。気になった方はお気軽にお問い合わせください。